もう35年以上前の話。 世の中、真空管からトランジスタに移行している頃ですが、コンテスト(48時間で、どれだけ多くの国や局と更新するかを競う競技)等で、このトランジスタ製の受信機を使うと、何かとっても賑やかなのに、うまく聞こえない、全体にガサガサ、ワサワサしているのです。 多分、航空母艦等の軍事通信が集中する状況でも同じような問題があったのでしょう。 受信機のダイナミックレンジが話題としてアメリカ当たりで取り上げられ始めました。 感度を上げて、更に80db以上のダイナミックレンジを確保する為には、全体の利得配分の見直し等、非常にデリケートな設計が求められていました。 頭にいきなりアンプをくっつけると、アンプその物の出すノイズと、下手をすると後段の飽和で必ずしも感度も、ダイナミックレンジも広がらないのです。 アポロ計画が終了して大量に解雇になったNASAの元技術者たちが、この様な技術をアマチュアの市場に製品として出してきました。 しかし、これは、ビックリするほど単純な、まっすぐなデザインの代物で、ほんとに目から鱗だったのを記憶しています。
自分なりに少し理解できたので、実験して当時のHamJournalに記事を書いてみましたが、国内メーカの物はダイナミックレンジが60db程度しかなく、大変悪い結果となった為に、結構風当たりが強かったことを記憶しています。 実際にはアンプの利得の最適化だけではなく、周波数変換の為の局発のレベルなど、最適化の為には真空管時代とは比べ物にならない位、設計が複雑になっています。
大学の学部学生の頃は、専攻(農学)とはまったく関係の無いこの話を一生懸命追っかけていました。
最近のアマチュア無線の機械の広告を見ると、殆ど全部に「ダイナミックレンジXXdb」と謳ってあるので、「あー、やっと常識として定着したんだなー」と思っています。 技術って、認識されてから常識として定着するまでには思いの外時間が係る物なのですね。
2008年7月18日金曜日
登録:
コメントの投稿 (Atom)
PCをWindows11にアップグレード(ハードもRyzen9 9900x+4070TiSに)
remBG(背景を消すPysonのユーティリティ)を弄っていたら、記事に書かれているのと比べてやたらスピードが遅いので、購入履歴を調べてみると、3~4年経ってしまっている。 ここは、奮起して、Ryzen9 9900x+Asus Prime X870-P WIFI-CSM +As...
-
銅パイプを使ったバリコンを制作してきましたが、間に噛ます誘電体の信頼性から、PTFE位しかなく、大きさが小さくならない、重量もそれなり、可動部が片側の端子となる(駆動距離分の配線処理)等から、4~5KV程度の耐圧の150pF位が自作の限界で、制作コストも安くなく、ジャンクの真空バ...
-
FT8でのDXが結構普及してきて、信号強度の交換は自動でやってくれるので、-XXdBというのをあまり気にしていない人も居るかと思いますが、やはりー(マイナス)って付くと気になります。 また、コンディションを予測する場合、どの位の信号レベルであればCWでの交信も可能かの判断の材料...
-
全長24mのデルタループとSCG-235の組み合わせは、それなりに活躍してくれて、4月からの6カ月で、それでも180カントリー位貢献してくれましたが、やはり指向性アンテナで無いと受信はかなり苦しいので、隣家の上空侵犯をしないサイズのアンテナを色々探して、最終的にHex Bea...
0 件のコメント:
コメントを投稿