2019年10月10日木曜日

高耐圧コンデンサの為の基礎実験

 
JR1OAO中島氏のご協力で中島氏の136Khz X'cvrでコンデンサの高周波の耐圧を測る作業をしてきましたが、MLA48のミーティングの会場で、他の人からもコンデンサを持ち寄ってもらい、同様の条件での耐圧試験も行われました。
 また、JA4CKC藤馬さんのDCの耐圧測定器(3KVまで)とで、比較することも出来ました。 そこで、今まで行ってきた実験のデータをまとめてみました。




結果)
縦軸:耐圧KV  横軸:厚みμm

 1)エアバリコンの耐圧は、高周波でもDCでもあまり変わりがない。
   ->空気は誘電体・絶縁体として素直?
   ->PTFE、ポリイミド何れでもDC耐圧は3KV以上を示した。
 
 2)ポリイミドを多重に重ねて耐圧が上がるか検討してみました。
  • 枚数を重ねると耐圧は上がる
  • コロナ放電開始電圧(部分放電開始電圧)が提供されているカプトンのシートで計測すると、枚数を重ねると耐圧は上がるが対数関数で近似され、コロナ放電開始電圧以外の要因が大きく影響している事が示唆される。 これって、何でしょう?
3)PTFE(0.23mm粘着剤付き)も同様に重ねて耐圧が上がるか
  • 同様に耐圧が上がりますが、ポリイミドと違い直線的に上がってゆく
  • 但し、一般に言われている19.7Kv/mmという絶縁耐圧とはかけ離れていて、0.2mmで1.7KV程度であった。
  4)多層化と一枚のシートを何重にも巻き付ける事は同じか?
  • 一実験だけですが、25μカプトン10枚重ねと10回巻きで同じ耐圧が示されたので、重ねの基礎データが実際の多重巻きに転用可能と推察されました。
5)ポリイミド(カプトン)の場合、PTFEに比べtanδが小さくないので発熱する。
   PTFE 0.0002に対してポリイミドは0.0084

以上の結果を踏まえ、0.2mm厚のテフロンシートを必要な厚みになるようパイプに巻き付けて、PTFE用の接着剤で端を接着固定するか、カプトンの同じくシートをパイプに必要回数巻き付けて端を接着剤で固定することにより、5KV程度の耐圧のコンデンサは自作可能ではないかと推察されます。
 比誘電率の違いでポリイミドの方が小型化できるかもしれませんが、誘電損失による発熱も考慮に入れる必要があり、実際には課題はまだまだ、残っています。


注)PTFE同士、或いはPTFEと金属の接着には専用の接着剤(シアノアクリレート系)とプライマーが必要です。 また、ポリイミド(カプトン)の接着には市販のシアノアクリレート系の瞬間接着剤が使用できます。


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